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01 切削痕
切削痕

【切削痕】

切削工具が
材料表面を削った際に残る
微細な凹凸のこと。
製品の性能と品質を
左右する設計要素であり、
その管理は製造プロセスにおいて
極めて重要である。

担当デザイナー

担当デザイナー

助田 直也 すけだ なおや

2013年、セイコーインスツル入社。現在はセイコーウオッチに所属し、主にセイコーブランドのデザインを担当している。

こだわり哲学

私にとって「切削痕」とは。

一般的に「切削痕」とは、何かを切ったり削ったりしたときに残る痕のことです。それは腕時計の製造過程でも現れます。例えば、金属ブロックからパーツを削り出す工程で、切削工具によって刻まれた痕跡が整然と現れる瞬間があります。無垢の塊が削りの軌跡で形を得る、その一線が描く美しさには思わず心を奪われます。ともすれば傷とも受け取れるそれは、私にとって非常に魅力的な、「加工技術の結晶」なのです。

こだわりのルーツ

カンナ。やすり。美しき
木工職人の手仕事。

あるとき、仕事に励む木工職人の映像が目に留まりました。それは一見、腕時計の製造とは関係なさそうな家具づくりの動画でした。カンナややすりで仕上げられた木肌に、職人の丁寧な仕事と素材への深い理解が刻まれていく…。その光景に、腕時計の仕上げ加工に通じる、細部へのこだわりを見出しました。そして、家具づくりに「魅せる削り痕」があることを知ったとき、心が静かに震えました。

腕時計の製造においては、多くの場合金属面は磨かれます。光りを鋭く反射する鏡面は、確かに美しい。しかし、木工と同様に切削加工の痕をあえて残すことで、新しい表情を生み出せるはず。だから今回は、それを「加工技術の結晶」としてどう美しく魅せられるか、ということにこだわりました。

こだわりをカタチに

削り痕を、デザイン
エレメントへ昇華。

特にこだわったのは、どの角度から見ても機械加工の精密さを感じられることです。視点を変えるたびに表情を変える切削痕の世界が、見る方の心にもそっと刻まれたらうれしいです。

通常、ケースとダイヤルは別パーツとして造られるが、この腕時計はひとつの金属ブロックからケースとダイヤルを同時に削り出すことで、切削痕の美しさを最大化させている。略字やロゴも切削加工を用いて造られ、切削痕への度を超えた愛を隅々から感じることができる。

あえて削り取る段差を大きくとり、切削痕を象徴的に表現。このユニークな階段形状は、りゅうずやバンド、小さな金具にいたるまで、ほとんどすべてのパーツに施されている。

裏蓋や美錠にも階段形状が。ラバーバンドは単なる形状の踏襲ではなく、切削で用いられる金属加工用機械の駆動力を伝えるゴムベルトをイメージしたデザイン。