【手針】
時刻や日付、特定の機能を
指し示す部品である針が、
キャラクターの腕や手の
形にデザインされたもの。
時計の指針は日本語では「針」だが、
英語では「Hands(手)」である。
大森 由紀 おおもり ゆき
1989年、セイコー電子工業(現セイコーインスツル)入社。現在はセイコーウオッチに所属し、主にセイコーブランドのデザインを担当している。
私にとって「手針」とは。
キャラクターウオッチにおいて、キャラクターの手を模した針を「手針」と呼んでいます。その動きによって、ダイヤルに描かれたキャラクターは、立体的な表情を見せはじめます。腕時計にさらなる愛着を与えることのできる手針は「生命力を授ける部品」なのです。
動きで語る、アニメーション
表現の原点。
昔のアニメーションなどによく見られる、セリフに頼り過ぎない作品。言葉が少なくても、キャラクターの仕草や視線、あるいは手の動きひとつで、気持ちがすっと伝わってくる。その表現力と世界観が好きなんですよね。
腕時計の手針もまさに、その動きによってキャラクターのさまざまな感情を表現することができる素晴らしいパーツだと思っています。キャラクターウオッチにおける手針の役割はかなり大きいのです。「生命力を授ける部品」としての手針があるから、その腕時計により感情移入できるんです。
手針、足針、しっぽ針。
選んだのは、過去の展覧会で登場した弊社のオリジナルキャラクター「テンちゃん」です。キャラクターの生命感をどれだけ高められるかにこだわり、行き着いたのが、針を曲げるという大胆な立体表現です。曲げ針の限界に挑戦しています!
秒針は手、分針は足、時針は尻尾の役割を担っている。曲げ針をはじめとする立体的なデザインで、キャラクターの動きや感情がより豊かに伝わる、唯一無二の表現が追求されている。
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時間によってさまざまなポーズをとるテンちゃん。「各々のパーツの重なり具合、隙間寸法の確保、ボックスガラスの屈折率計算、猫のしなやかさを考えた針の曲げ具合、時間の視認性などなど…全てのバランスに妥協を許さず、どうすれば可愛くなるかを考えまくりました」(大森)
裏ぶたにはテンちゃんの足跡が抜かれていて、キャラクターのインスピレーションであるメカムーブのテンプが見える。ケースの足(カン)はテンちゃんの手足形状。よく見るとその裏側には肉球が再現されていて、細部にまでキャラクター愛が詰まっている。